
この土地、駅も近いし安いけど…なんか不安で決めきれなくて

土地の採点表を作って比較すると一気に頭が整理されるよ。実は僕もそうして選んだんだ
こんにちは。
我が家ではこの2年ほど「土地探し」に取り組んできました。
(土地探しは主に嫁さんが担当しています)
けれど、見れば見るほどどれが良い土地なのかわからなくなってきた時がありました。
なぜなら、土地って一度にいくつも見比べることができないし、「あの土地どうだったっけ?」と記憶が曖昧になってきた事が原因です。
そこで私は、土地を“感覚”ではなく“数字”で評価できる採点表を自作することにしました。
ネット上にも似たような表がないか探しましたが、納得のいくものがなかったため、自分で一から作ってしまいました。
この採点表で数値化する方法にたどり着いてから、判断がブレなくなりました。
このブログでは、地盤や災害リスク、安全性、価格などを点数で見える化する方法を、実例付きで紹介します。「なんとなく良さそう」ではなく、根拠を持って土地を選びたい方にとって、必ず役立つ内容になっています。
記事の後半では、「地盤サポートマップ」「重ねるハザードマップ」などの安全性の確認ツールも紹介していますので、よければ参考にしてください。
なぜ採点表を作ったのか?
土地選びって、本当に長期戦です。
先に述べた通り「どの土地が良かったか?」を感覚で覚えておくのは難しく、時間が経つと過去の候補の良し悪しを忘れてしまいます。
そこで、すべての土地を同じ基準で点数化し、後からでも比較しやすくするために採点表を作りました。Excelで作ってあるので、優先順位や重み(寄与度)を自由にカスタマイズできます。
採点表の使い方
↓はダウンロードしたエクセルの一部です。

① 条件ごとに点数を入れる(H列)
予算・エリア・利便性・敷地条件など、土地に関する各項目を一覧化しています。
それぞれの項目に対して、G列の評価項目を確認しながら「③=3点」「①=1点」といった形で、H列に土地の評価点を手動で入力します。
G列は必要に応じて自分で自由に変更できます。
② 自分の優先順位を設定する(E列・I列)
土地に求める優先事項は人それぞれ違うと思います。
私は「価格」を最重視していたので、価格の項目に「1位」と順位を付け、I列の寄与度(重み)を高く設定しました。
たとえば、評価点が3点でも、寄与度が100なら
→ 「3 × 100 = 300点」となり、J列にその数値が表示されます。
優先度と寄与度は自分の価値観に合わせて修正してください。
③ 小計の確認(J列)
J列には各項目の点数と寄与度を掛け合わせた小計が表示され、表の最下部(下図の赤丸参照)には全体の合計点が出ます。この合計点を使えば、複数の土地を公平な基準で比較できます。

④ 寄与度を調整するには?
I列(寄与度)の変更に合わせて、合計点が100点前後になるように青いセルの数値をオレンジ色のセルに手入力で調整してください。重み付けのバランスが崩れると、比較しづらくなるので注意が必要です。
例を示します。
↓はエクセルの一番下段です。

例えば↑の寄与度を変更。↓の通り30とします。

そうすると合計点が↑の通り100点満点を超えてしまいます。

そこでオレンジセルに青セルの数字を手動で入力すると100点満点になります。
この状態で採点をすると100点満点での採点表が出来上がります。
⑤ D列の「〇」とF列の「NG」の意味
- D列の〇:現地で確認が必要な項目にチェックを入れています。ネット情報だけで判断せず、ぜひ現地でチェックしましょう。
- F列のNG:致命的な欠点(例:近くに嫌悪施設があるなど)がある場合は、合計点が高くても購入は見送るべきだと判断するための警告です。これは人によって基準が違うので、自由に付け外ししてください。
実際の使い勝手
私の経験では、分譲地は採点表の条件を自動的に満たすケースが多く、チェックにそれほど時間がかかりませんでした。
一方、古くからある土地や個人売買の土地は、境界線やインフラの有無、周辺環境など、確認すべきことが多く時間がかかる傾向があります。
実際の所、100点の土地はありませんので75点くらいを目指していくのかと思います。
採点表の項目の解説
次に各項目についての説明です。
すべて説明すると長くなりますのでまずは分譲地、昔からある土地に共通する確認項目である”安全性”について調べるのに役に立つサイトを紹介します。(他の項目は別途解説したいと思います)
正直今回紹介するすべてのサイトを確認しようとするとかなり大変です(笑)。
私はすべて調べましたが、最低限「地盤サポートマップ」と「重ねるハザードマップ」だけでも確認しておくことをおすすめします。
この2つのサイトは操作性もよく網羅性にも優れていると思います。
①【地盤の状態】を調べたいとき

1. 地盤サポートマップ|地盤調査の第一歩に・・・超おすすめ!
提供:ジャパンホームシールド
▶ 地盤サポートマップはこちら
日本全国の地盤調査結果を無料で閲覧できるサービス。地震が発生した時のその土地の揺れやすさや液状化の危険度、土砂災害や、浸水、地質、過去の航空写真、古地図まで調べる事が出来ます。簡単な住所入力でそのエリアの地盤、災害情報をpdfで確認できます。
もうこのサイトだけ調べておけばいいんじゃない?
そう思わせてくれる情報量です!
2. ジオダス(GEODAS)|専門家向けの高精度データ
提供:地盤工学研究所
▶ ジオダスを見る
全国の地盤データに基づいて「地盤の硬さ・地質・液状化リスク」などを可視化。やや専門的ですが、エリアの地盤傾向を知るには信頼性の高いツールです。
地盤改良実績、腐植土(※)の出たところがわかります。
フリー版は情報量が少ないので物足りないと感じました。
腐植土(ふしょくど)とは?|家づくりにおける“見えない落とし穴”
腐植土とは、植物の葉や根、枯れた草木などが長年にわたって堆積し、分解されてできた黒く柔らかい土のことです。そのまま家を建てると、建物の重さに耐えきれず不同沈下(家の傾き)を引き起こすリスクがあります。
地盤改良の難しさ|腐植土は「手ごわい相手」
一般的な軟弱地盤であれば、砕石やセメントを使った改良工事で対応できます。
しかし腐植土の場合、枯れ葉・植物などの有機物を多く含むため、セメントと反応しにくくなります。
具体的には、有機酸や腐植酸といった成分がセメントの水和反応(固まる化学反応)を妨げてしまうため、思ったように固まらず強度が出ません。
腐植土がある場合の影響
- セメントでは固まらないため、特殊な固化材が必要(材料費UP)
- 改良深度が深くなりやすい(5m以上など)
- 支持層まで届かせるため、鋼管杭など高額工法が必要になることも
これらの条件が重なると、地盤改良費用が200万~300万円超えも珍しくありません。
また、改良後も「沈下のリスクが完全になくなるわけではない」点も注意が必要です。
腐植土は谷間に集まる性質があるので特にそういった土地では警戒が必要だと思います。
腐植土に関する結論
土地価格が安くても、腐植土による地盤改良費の想定外の出費で結果的にコスト高になるリスクがあります。
したがって、土地購入前に地盤リスクを調べることは必須です。
とくに地盤サポートマップや地歴の確認が有効です。
また、工務店やハウスメーカーが提携している地盤調査会社が周辺のボーリングデータを確認できる有料サイトに加入しているともいますので担当者へ確認してみるのも良いと思います。
3. 地盤ネット|一般向けで分かりやすい
提供:地盤ネットホールディングス
▶ 地盤ネットはこちら
住所を入力するだけで、液状化や土砂災害、地名由来などの潜在リスクや、地盤改良費の目安まで表示。ボーリングデータが確認できるので先の腐植土が出た地域も確認できます。ただし、データ数が少ないので心配な方は地域の建築指導課の構造担当部門で地域のボーリングデータを閲覧するのが良いと思います。
このサイトではボーリングデータを見るだけであとは地盤サポートマップを見ておけば良いと思います。
4. 国土地盤情報検索|公的データで地盤の信頼性をチェック
提供:国立研究開発法人 土木研究所
▶ 国土地盤情報検索はこちら
国や自治体が行ったボーリング調査のデータをもとに、土地の地層や支持層の深さなどを調べることができる公的サービスです。こちらも腐植土が出るかを確認する事が出来ます。こういったデータを確認する時は近くではなく同じ地形のボーリングデータを探すと良いです。
盛土造成地なのかどうかを新旧航空写真で調べる事が出来ます。また旧版地形図でどういった土地だったのかも確認できます。
こちらもボーリングデータを見るだけでよいかと思います。
②【災害リスク】を把握したいとき

5. 液状化マップ|地震後のリスクに備える・・・超おすすめ!
提供:各自治体・国土交通省
▶ 重ねるハザードマップで確認
▶ 自治体のHPで公開(例:「〇〇市 液状化マップ」)
地震時に液状化の可能性があるエリアを色分けで表示。特に埋立地や元川のエリアは注意が必要。
「重ねるハザードマップ」では液状化に加え、洪水・土砂災害・津波などさまざまな自然災害リスクを地図上に重ねて表示できる公式サイトです。
使い方もシンプルで、災害リスクの総合チェックはこれ1つでOKと思えるサイトです。
このサイトは地形を調べる事も出来ます。比較的軟弱地盤の多い沖積層(ちゅうせきそう※)か安定している洪積層(こうせきそう)かを推定することが可能です。
※沖積層の中でも自然堤防、扇状地など良好な地盤もあります。洪積層は古い土なので締め固まっている(硬積層と覚える)
6. 大規模盛土造成地マップ|見えない地盤の履歴を知る
▶ 自治体の都市計画課等で公開(例:「〇〇市 盛土造成マップ」)
谷や傾斜地を大量の土で埋めた造成地は、地震で崩れたり沈下しやすいと言われています。
古くからの団地や山裾の開発地は必ず確認を。
7. J-SHIS 地震ハザードステーション|全国の地震リスクを地図で確認
提供:文部科学省
▶ J-SHISはこちら
「今後30年以内に大地震が発生する確率」や、「震度の予測分布」などを地図で表示。地盤ごとの揺れやすさも分かります。
とにかく使い方が難しく理解しにくいサイトでした。。。
8. 活断層データベース|地震の震源となる断層を確認
提供:産業技術総合研究所
▶ 活断層マップを見る
活断層の位置や活動履歴、将来的な地震リスクなどが把握できます。
「近くに断層がないか?」を確認するのに最適です。
9. 津波デジタルライブラリー|過去の津波被害を知るための資料館
提供:防災科学技術研究所
▶ 津波デジタルライブラリーはこちら
過去に日本で発生した津波の記録や写真、被害状況を閲覧できるアーカイブサイト。
ハザードマップではわからない「実際にどのあたりまで津波が押し寄せたのか?」といった実体験に基づく情報が得られます。
特に沿岸地域の土地を検討している場合には、一度は見ておくべきサイトです。
私の地域では大地震の時に大津波が来ると言われていますがは市町村のハザードマップでは何故かそうなっていません。過去の情報を参考にして最悪どのくらいまで津波が来るのかは自分で予想したほうが良いと思います。
10. 水害ハザードマップ|地域の水災リスクを確認
▶ 自治体のHPで公開(例:「〇〇市 洪水ハザードマップマップ」)
2015年に1000年に一度の最大降雨と改定されているが対応されていない市町村が多いです。また氾濫が想定されていない中小河川が氾濫する傾向があります。2019年に氾濫した河川67のうち43がマップになかったので鵜呑みにするのは注意が必要です。
提供:AIG
▶ 水災等地確認マップ
こういった保険会社の水災リスクレベルの方が信頼できるかもしれません。
ですが結局水災に関しては重ねるハザードマップでの確認で十分かと思います。
11.海面上昇マップ|未来の浸水リスクを可視化
提供:国土地理院 × Esri Japan
▶ 海面上昇マップはこちら
将来、気候変動によって海面が1〜3メートル上昇した場合に浸水の可能性があるエリアを地図上に表示するツールです。自宅や候補地が海抜ゼロメートル地帯かどうかを視覚的に確認できます。
「地震や台風よりも怖い」とされる慢性的な海面上昇の影響を調べるのに役立ちます。浸水リスクの予測は、土地選びの新たな視点として注目されています。
③【土地の履歴や変化】を知りたいとき

12. 今昔マップ on the web|古地図で土地の過去を探る
▶ 今昔マップを見る
明治・大正・昭和の地図と現代地図を重ねて表示。「昔は川・沼・田畑だった?」といった履歴から、軟弱地盤の可能性や過去の用途が見えてきます。
私が調べた地域ではこれまでのツールの中でもっとも古い地図が出てくきました。
13. 迅速測図(明治初期の実測地図)|開発前の自然地形を確認
▶ 地理院地図で「迅速測図」レイヤーをON
明治初期の詳細な地形図で、昔の河川、湿地、集落の位置を確認可能。
明治初期の陸軍によって作られた地図。↑の今昔マップでOK。
14. ゼンリン住宅地図|土地の用途や変化を把握
▶ 図書館で無料閲覧可能(要カウンター申請)
一軒ごとの建物名称や用途が分かる地図。
地盤サポートマップで年代別の地図を確認すれば大体わかるが施設の詳細を知りたい場合に利用する。
15. Googleマップ&ストリートビュー|現地に行かずに環境チェック
環境・安全・住み心地をオンラインで事前確認しましょう。
16. 道路族マップ|住民トラブル情報を把握
▶ 道路族マップ
「騒音」「迷惑行為」の投稿を地図で可視化したサイト。
偏りはあるものの、避けたいエリアの判断材料とする。
④【将来性・利便性】を知りたいとき

17. 都市計画マップ|10年後の街の姿を読む
▶ 自治体ホームページ or 都市計画課で閲覧可(例:「〇〇市 都市計画マップ」)
・計画道路や開発区域の有無
・用途地域(商業・工業・住宅など)
・将来の騒音や混雑リスク
「便利になる?それとも騒がしくなる?」を予測できます。
18. 買ってはいけない土地の傾向|価値が下がるかも?
注意すべき傾向:
- 高台で坂が多い(高齢化で不便に)
- バス便のみの郊外エリア
- 過去の新興住宅地(老朽化・空き家化進行中)
狙い目:
- 大企業周辺で新しく整備されたエリア
- 地方中核都市で人口流入が見込まれる地域
19.失敗しない住宅地の選び方|将来価値も考慮しよう
徒歩圏で生活が完結するエリア
徒歩や自転車でスーパー・病院・役所に通える街は資産価値が落ちにくく、生涯住み続けやすい。
県庁所在地や経済の中心地への人口集中が加速
地方の中でも、県庁所在地や県内トップの経済都市は人口が維持されやすい。
よって今後もインフラや商業施設が充実しやすい。
通勤限界圏のリスクに注意
2030年代以降、人口減少と高齢化により、通勤圏ギリギリの土地は急速に資産価値が落ちる可能性がある。特に交通の便が悪い郊外は慎重に検討を。
20. 人口動向・将来予測|需要のあるエリアかを見極める
▶ e-Stat(政府統計ポータル)
▶ 地方自治体の将来推計人口ページ
2040年の人口予測を確認し、将来も住宅ニーズが続くか判断しましょう。
私の親戚の住んでいる地域は2040年までに人口が今の1/3になっていました。
21. 居住誘導区域の確認|インフラ整備が続く場所か
▶ 市町村の都市計画ページ(例:「〇〇市 居住誘導区域」)
人口減少時代でもインフラ投資が継続するエリア(居住誘導区域)は安心材料になります。
居住誘導区域とは、市街地への人口集中を促すために自治体が指定するエリアです。インフラや公共サービスを効率的に提供するため、住宅の立地を誘導することが目的です。この区域内に住むと、補助金や優遇措置を受けられる場合があります。
まとめ|後悔しない判断軸を自分でつくろう!

土地選びは、家づくりにおいて最も大切な「土台づくり」です。しかし、価格や立地、災害リスクなど複数の要素が絡むため、感覚だけで判断すると後悔することもあります。
そこで私は、複数の土地を客観的に比較できるよう、自作の「採点表」を活用することで、納得感ある選択ができるようになりました。さらに、地盤や災害リスクといった見えない不安要素も、各種マップや地盤情報ツールを使うことで、事前にチェックが可能になります。
このブログでは、私が実際に使った採点表や調査ツールをすべて紹介しています。土地探しに迷っている方や、これから家づくりを始める方の一助になればうれしいです。
自分と家族の未来を守るために、「なんとなく良さそう」ではなく、「根拠ある判断」を。
ぜひ、この記事を参考にあなただけの採点表をカスタマイズしてみてください。